エクスパンシス
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ヘルムホルツ式空洞を利用したノイズキャンセリング扇風機「Dyson Cool ファンAM06/AM07」記者発表会


ヘルムホルツ式空洞を利用したノイズキャンセリング扇風機、Dyson Cool ファン「AM06」「AM07」の発表会が都内にあるダイソンのショールームにて行われた。

従来機(右)と比べ空力設計を変更した新型(左)のカットモデル

 ダイソンのシニアデザインエンジニアのマーティン・ピーク氏によって、ダイソンの羽無し扇風機の仕組みと、改良されたエアフローに関しての説明が行われた。ダイソンのファンは、通常の扇風機と比べ、本体下部にある送風機構より円形(楕円形)のフレームに風を送り、隙間から風を吹き出す事で空気の流れ(エアフロー)を生み出し、風を作っていた。風を生み出す羽(フレーム)を翼状にすることで、パワフルなエアフローを生み出しているが、動作音が大きいという問題があったとの事。

そこで、設計を変更し、エアフロー効率化を計る事でノイズの原因の一つである乱気流の発生を減少させることを実現。そして、もう一つのノイズの原因だったモーターの作動音に関しては、ヘルムホルツ共鳴を利用した消音装置によって実現したという。

ヘルムホルツ式空洞とは、ヘルムホルツ共鳴を発生させる空洞で、音楽室や録音スタジオなどの壁面に空いた細かい穴、バスレフ型スピーカなどにも使われている原理。その仕組みを扇風機の消音機構に採用したという事なのだ。

これらの原理をわかりやすく解説するために、米村でんじろう先生の一番弟子チャーリー西村氏による様々な科学実験が行われた。

音の伝わり方や、音の高低による性質の違い、音を小さくするにはどうしたら良いか、という実験がつづき、最後にパイプの片方にスピーカーを設置し、途中にあけた小さな穴に、ヘルムホルツ空洞の効果を持つフラスコを被せると、はっきりとわかるレベルで音が小さくなるというヘルムホルツ式空洞の原理の説明が行われ、会場からはその効果に感嘆の声も上がった。

その後、従来機と新製品を最大風力で作動させた後、従来機の電源をOFFにするという騒音比較が行われた。ヘルムホルツ式空洞によるモーター音の消音化とエアフロー設計の改良による乱気流の削減という2つの効果により、従来機種より75%の静音化­と40%の省エネを実現したという。エアフローを作り出すモーターに付属している羽根(インペラー)の間隔を一定にし、発生するノイズを特定の周波数(1,000Hz)前後に収束、ヘルムホルツ式空洞による消音効果を向上させた。また、エアフロー改善とあわせてモーターの回線数を抑えても風量を維持できた事による省エネ化により最大消費電力は3W程度で済むという。

省エネ化、消音化というと、ついつい新しいモーターの開発だとか吸音材の追加、電子的なノイズキャンセリング技術の導入など、機構を複雑化する方向や、コスト増加の手段が多い中、シンプルな設計変更によって実現させたというのは非常に新鮮だった。特に、ヘルムホルツ式空洞などは、身近で体験している人も多い中、それを利用した消音化というはノイズキャンセリング技術(ヘッドホンなど)を長年取り扱ってきた身としても目から鱗だった。しかし、消したい音の周波数によって空洞の形状や大きさなどを設計しなくてはならないという事で、今回も68名のエンジニア、科学者が3年間がかりで開発に当たったという事。

ダイソンのテーブルファン「AM06」は4万800円(税抜き)、タワーファン「AM07」は5万4800円(税抜き)。4月30日発売。