オフィス防災EXPO 2013 レポート

Pocket
LINEで送る

東京ビッグサイトにて開催された「オフィス防災EXPO 2013」を取材した

 

防災関連の商品に関しては、毎年新製品が開発、市場投入される訳ではないが、出展社の意図によってメインの展示物が変わったり、状況に応じた提案が行われるので、展示内容を見る事で防災のトレンドもうかがう事ができた。

オフィス家具などの総合メーカーや総合小売り店鋪、商社などは、取り扱う商品を組み合わせた防災セットや備蓄用のキャビネットなどを取り揃えていた。今までの非常持ち出し袋的な物もあるが、帰宅支援用、会社でのろう城備蓄用、部署、フロアで備える脱出工具や非常備蓄など、目的に応じた内容でバリエーションがあるのが増えた印象。

非常食に関しても、いわゆるカンパンやレトルト食品などでも、備蓄用に同程度のカロリーでもコンパクトになったものや、食感を良くしたりバリエーションを増やすなどの改良を加えたりと、非常時だからこそストレスを軽減した食事をとれるよう工夫したものも多くみられた。ユニークだったのは、カゴメの野菜ジュース「野菜一日これ一本」で、特別非常用としてではなく、通常商品として3年半の保存期間を持たせた缶飲料(野菜ジュース)が紹介されていた。日常のストックとして箱買いなどで備蓄して、古いものから普段の飲用で消費してゆくと言うサイクルを提案していたのは、良いポイントに感じた。

また、フリーズドライ食品に関しては、10年〜25年の長期保存が可能のが売りなのだが、意外と知られていないのが保存場所の温度。25年保存の条件は、24℃以下など一定の条件が定められていると言う事で、日本の通常家庭で保存する場合には、注意が必要だ。

不二ラテックスの「不動王」シリーズは、最大震度7に耐える固定具。一般的なテレビの下に敷くシート(粘着フィルム)タイプの他、超発泡ダンパーが緩衝剤となり転倒を防止するL字、T字タイプの固定具や、テレビ台、コピー機などの重量物を安定させる固定具など豊富なバリエーションがあるのが特徴。

L字、T字タイプは、ネジで固定するものだと、ネジや釘が大きな揺れで緩んだり、抜け落ちて抜け落ちてしまう場合もあると言う事だが、「不動王」であれば、縦揺れ、横揺れなどの揺れをダンパーが吸収することで揺れ幅を減少。固定された家具の転倒を防止すると言う。また、粘着性シートでの固定となることで、壁面、柱などに傷をつける事無く固定でき、剥がす際も壁紙を傷つけにくい素材を使用しているとの事。

エィアンドエィティーの「レスキューアクア911」は、逆浸透膜方式を利用した浄水器。5分で約2リットル、一日に300人分に相当する約600リットルの浄水能力を持ち、一週間程度の連続使用が可能。手動モデルの他、電動モーターを使用したモデルも。約15万円ほどで、企業や自治体などで備えるにはリーズナブルな価格帯。

エクセルシアの「ほっ!トイレ」シリーズは、従来の用を足した後で薬剤を投入するタイプと異なり、錠剤状の薬剤を事前に排便用の袋に入れて用を足すタイプ。薬剤が発泡して排泄物を取り囲みニオイを長期にわたって遮断すると言う。ユニークなのは、モバイル用にはポンチョ(ゴミ袋に頭を通す穴をあけただけ)が同梱されており、屋外での使用に際して配慮されているという点。ゴミ袋を加工したりすれば良いだけとはいえ、必要な時にすぐ用意できるとも限らず、地味だけど重要なポイント。「ほっ!トイレ 」は、トイレの便座に被せて使用する備蓄用と、ポンチョやフレームをセットしたモバイル用などのラインナップ。

まいにち株式会社ブースでは、携帯トイレ「マイレット」シリーズが紹介されていた。食料や明かりなどばかりであまり注目されないのがトイレ。最近ようやく取り上げられるようになってきたが、とはいえ、頻度や情報量などは多くないのが現状。衛生面は重要で、トイレが機能しないとあっという間に感染症などが蔓延してしまう。

マイレット」は、家庭や企業での備蓄用と、ポケットティッシュより薄いパッケージになったノベルティを兼ねたモバイル用の2種(薬剤や袋などのスペックは同じ)を展開。元々広告屋業だったが、阪神淡路大震災を機に、当時困っていたトイレの問題をなんとかしたいと言う想いで製品開発、販売を開始して10年以上の実績があると言う。

ホリカフーズでは、非常食の「レスキューフーズ」を中心にレトルト、缶詰系の非常食を展示。災害直後は、ガス漏れなどでロウソクはおろか、防爆仕様になってない懐中電灯なども使用できない状況。そういう状況で使用できる薬剤式の発熱剤を同梱。専用の薬剤と反応液を使用しているので効率よい加熱が可能。

他の非常食の1食分と比較して、1.5倍〜2倍くらいのボリュームがあり、単なる避難生活ではなく、片付けや救出活動、荷物を持った状態での移動などの重作業にも耐える栄養価があるのが特徴。レトルトや缶詰系が多いので自宅や企業での備蓄用もしくは移動用としては初日の数食分として使用するのが良いかも。

重松製作所ブースでは、PM2.5に対応したN95/DS2規格のマスクが展示されており、いずれもPM2.5には対応しているということでした。また、火災などで避難する際に5分程度呼吸ができる空気ボンベとマスクのセット「ライフレスクミニ」なども展示されておりました。

ルミカブースでは、化学反応で発光する「ルミカライト」の防災用パッケージや防災用のセットなどが展示されていました。「防災用簡易ライト」は、従来製品の防災用パッケージで、衝撃でアンプルが破損しないよう紙製の保護ケースが入っているなど防災を意識したパッケージ。「緊急時お助けセット」は、長めのケミカルライトスティック3本、スタンド、簡易トイレを3回分がセットになったパッケージ。緊急時に必要になると思われる照明とトイレを用意したという。

3Mブースでは、シンサレート素材を使用した「オフィス災害用コンパクト寝袋」やメガネのつるに挟んで使用できる「LED クリップライト」などが展示されていました。「オフィス災害用コンパクト寝袋」は、断熱、保温性能に優れた素材で、災害によりエアコンの停止したオフィス内でも暖かく過ごせる寝袋で、普段はコンパクトに収納できるのが特徴です。「LED クリップライト」は、ボタン電池を使用し、約50時間の連続点灯が可能。クリップが付いているので両手を開けた状態で照らすことができ、地図を読んだりメモを取ることなども容易に行えます。

センチュリーブースでは、「家庭用緊急地震速報発報端末 地震の見張り番@home(JMB-AH)」などの情報機器なども展示、紹介されていました。TV、ラジオ、携帯電話とは異なる「高度利用配信」と「現地演算方式」を採用し、より早く、正確な情報を提供すると言う事で、日常ではシミュレーション訓練、任意訓練の2種類の訓練機能を搭載。過去55件の主要地震データを使用したシミュレーション訓練、緊急地震速報(震度、揺れの到達時間)、津波情報、噴火情報を自由に設定できる任意訓練が可能との事。

「高度利用配信」と「現地演算方式」を採用した事で、設置場所に最適化された詳細な情報を受け取ることができ、設置場所における想定震度と到達時間(何秒後)に加えて、震源地、震度、マグニチュードなどが表示。また、高度利用配信は、TV、ラジオ、携帯電話などの一般利用と違い、気象庁のデータを即時配信するので、一般利用よりも数秒〜数十秒も早く配信されるため、それだけ早く行動を開始することができるとが特徴。

地震の他、気象庁が配信する津波、噴火情報も、音声と表示で知らせてくれる。

操作は、タッチパネル方式でわかりやすく、筐体もコンパクトで持ち運びやすい。本体は、震災後FMラジオ、携帯電話充電器(USB経由)LEDライトとしても使用可能。単三乾電池4本で稼働するので、非常時でも継続して使用する事が可能。

「そごう・西武」ブースでは、様々な防災用品を紹介していました。主に外商部の取り扱いで、店頭販売は行わない物が多いようです。その中でも、コイン型の抗菌・消臭剤を含んだ圧縮おしぼりや、主として女性向けの緊急時用衛星キット、電気自動車を利用した非常用電源活用ソリューションなどが新しく紹介されておりました。